投資をしていると、「配当金は再投資したほうがいい」という話をよく聞きます。

受け取った配当金を再び投資に回せば、そのお金がさらに利益を生み、複利で資産を増やしていける。確かに、その考え方は理解できます。

でも私は50代になった今、配当金について一つのルールを決めています。

配当金は基本的に再投資せず、毎年使い切る。

現在、実際に受け取っている配当金は年間約120万円です。月平均にすると約10万円になります。

なお、ここでいう約120万円は、税引前の配当額ではなく、実際に口座へ入金された金額を合計したものです。

一方で、将来のために増やしたいお金まで使っているわけではありません。資産形成は、低コストのインデックスファンドを中心に別に続けています。

つまり私の中では、

増やすお金と、使うお金を分ける。

これが現在の投資の考え方です。

なぜ配当金は再投資せずに使うのか。なぜ資産形成はインデックスファンドと分けているのか。

50代になった今の考えを、実際の経験も含めて書いてみます。


50代になって「いつ使うのか」を考えるようになった

資産形成を続けていると、「もっと増やしたい」という気持ちが出てきます。

100万円なら200万円、1,000万円なら2,000万円。目標に到達しても、その先の目標が見えてきます。

資産が増えることには安心感がありますし、私自身、これまで資産形成を続けてきました。

ただ、50代になってから別のことも考えるようになりました。

このお金を、いつ使うのだろう。

資産を増やすことばかり考えていると、使うタイミングを失ってしまうかもしれません。同じ10万円でも、50代で使う10万円と80代で使う10万円では、できることが違うと思います。

元気なうちに旅行へ行く。家族と食事をする。やってみたかったことを経験する。

将来のために資産を増やしながら、今の生活にもお金を戻していいのではないか。

そう考えるようになりました。

そこで私が「使っていいお金」と決めたのが、配当金です。

年間約120万円の配当金。今は主に旅行に使っている

現在、実際に口座へ入金される配当金は年間約120万円です。月平均にすれば約10万円ですが、もちろん毎月同じ金額が入ってくるわけではありません。

それでも年間でこれだけの金額になると、生活の楽しみに使えるまとまったお金になります。

今は、この配当金を主に旅行に使っています。今年は旅行へ行く回数も増え、3か月に1回くらいのペースになりました。

もし旅行へ行くたびに、これまで積み上げてきた資産を売ってお金を作るとなると、私はおそらく毎回少し迷うと思います。

でも配当金なら、

「今年、資産が生み出してくれたお金だから使おう」

と思えます。

株そのものは基本的に残し、そこから受け取った配当金は使う。

私の中では、株そのものが「木」で、配当金はそこから毎年できる「実」のような感覚です。

この心理的な違いは、私にとってかなり大きいものです。

年間約120万円という数字も、今では単なる投資成績ではありません。

実際に自分たちの人生を楽しむためのお金になっています。

資産を増やすなら、私はインデックスファンドを選ぶ

では、将来のために資産を増やしたい場合はどうするのか。

私は今のところ、低コストのインデックスファンドを中心にすればいいと考えています。

理由の一つが、配当や分配金の扱いです。

NISA口座などを除き、課税口座で上場株式等の配当金を受け取ると、一般的には20.315%の税金が源泉徴収されます

たとえば10万円の配当金を受け取っても、税引後に手元に残るのは約8万円です。そのお金をもう一度投資するのであれば、税金が差し引かれた後のお金を再投資することになります。

一方、インデックスファンドには、投資先から得た配当などを運用資産に組み入れ、投資家へ分配金として支払わず、そのままファンド内で運用を続けるタイプが多くあります。

投資信託でも、いったん投資家に普通分配金を出してから自動的に再投資する場合、その普通分配金には原則として税金がかかります

私が資産形成に向いていると考えているのは、分配金を頻繁に出さず、ファンド内で運用を続ける低コストのインデックスファンドです。

ただし、分配金を出さないからといって、投資に関する税金がすべてなくなるわけではありません。

課税口座では、最終的にファンドを売却して利益が出れば、その利益には税金がかかります。

それでも、運用途中で分配金を受け取り、その都度課税された残りを自分で再投資するのとは違いがあります。

だから、

今すぐ使う必要のないお金を、長期間かけて増やす。

という目的なら、私はこうしたインデックスファンドを中心にするのがシンプルで合理的だと考えています。

成長株投資も経験したが、私には難しすぎた

もちろん、資産を増やす方法はインデックスファンドだけではありません。

将来大きく成長しそうな企業を自分で見つけて投資する、成長株投資という方法もあります。うまく企業を選ぶことができれば、大きな値上がり益を得られる可能性があります。

私自身も、成長株への投資をしたことがあります。

でも、今はやっていません。

理由は単純です。

私には、企業の将来性を見極めるのが難しすぎました。

今の業績や財務状況を数字で確認することと、「この会社が5年後、10年後にどこまで成長しているか」を予想することは、私にとってまったく別の難しさがありました。

成長しそうだと思った企業が、思うように成長しないこともあります。企業が成長しても、すでに株価に高い期待が織り込まれていることもあります。

私には、その将来性を見極め続ける自信がありませんでした。

だから今は、

資産を長期的に増やす部分はインデックスファンド。

企業の業績や財務、配当方針などを確認しながら、配当という形でお金を受け取る部分は高配当株。

という使い分けをしています。

これは成長株投資が悪いという意味ではありません。成長企業を見極めることが得意な人には、成長株投資という選択肢もあると思います。

ただ、私には難しかった。

だから、やらない。

投資では、何が一番儲かりそうかだけではなく、自分が理解できる方法を選ぶことも大切だと思っています。

高配当株では、減配も無配も実際に経験した

高配当株投資も、決して簡単ではありません。

私自身、減配は何度も経験しています。

中には、

「配当利回り4%くらいなら悪くない」

と思って買ったのに、購入後まもなく無配になった銘柄もありました。

買ったときには年間4%程度の配当を受け取れるつもりだったのに、配当はゼロです。当然、想定していた収入は入ってきません。

こういう経験をすると、「今の配当利回りが高い」というだけでは何の保証にもならないことがよく分かります。

高配当株投資では、一つひとつの企業について、

  • 利益は安定しているか
  • 財務に問題はないか
  • 今の配当を維持できそうか
  • 配当性向は高すぎないか
  • 事業そのものに問題はないか
  • 株価が下落して、見かけ上の配当利回りだけが高くなっていないか
  • 今後も配当を維持、あるいは増やしていけそうか

などを自分なりに確認する必要があります。

それでも、減配を完全に避けることはできないと思っています。

どれだけ調べても、企業の業績や経営環境は変わります。

だから私は、

高配当株投資を長く続ければ、減配はおそらく経験する。

そのくらいに考えていたほうが現実的だと思っています。

高配当株投資は、企業分析が苦にならない人に向いている

インデックスファンドなら、自分が投資する商品を決めたら、あとは毎月一定額を積み立てていくという方法が取れます。

一方、高配当株投資の多くは個別株投資です。買って終わりではなく、保有している間も業績や財務、配当方針などを確認していく必要があります。

私自身は、これまでの経験から企業の数字を見たり、個別株を調べたりすることには慣れています。決算資料を見たり、業績や財務を確認したりすることも、それほど苦にはなりません。

だから、この方法が自分には合っています。

でも、誰にでも合うとは思いません。

企業分析そのものに興味がない。決算を見ることが負担になる。個別株の値動きが気になってしまう。どの会社を買うのか考えること自体がストレスになる。

そういう人が、配当金が欲しいという理由だけで無理に高配当株へ投資する必要はないと思います。

インデックスファンドを淡々と積み立てるほうが合っている人も多いはずです。

投資は長く続けるものです。

理論上どれだけ良い方法でも、自分に合わなければ続きません。

退職後は「資産額」だけでなく、入ってくるお金も考えたい

配当金を使うという考え方は、退職後の生活を考えるときにもつながっています。

資産形成では、「資産がいくらあれば大丈夫か」という話がよく出てきます。もちろん資産額は重要です。

でも私は、資産額だけではなく、

年間の生活費のうち、配当などの収入でどこまで賄えるのか

も重視したいと思っています。

理由は、資産を取り崩しながら生活することへの心理的な抵抗です。

たとえば仕事を辞めたあと、株式市場が大きく暴落したとします。

それまで積み上げてきた資産が、短期間で大きく減っていく。その状況でも、「計画どおりだから大丈夫」と生活費を作るために機械的に資産を売却できるのか。

私は、おそらくかなり抵抗を感じると思います。

資産が大きく減っているところへ、さらに自分で売却して減らしていく。理論上は問題がなくても、精神的にはかなりきついと思います。

では、生活費をすべて配当で賄えばいいのか。

これも現実には簡単ではありません。

ここでは計算を分かりやすくするため、税金、社会保険料、医療費なども含め、退職後に年間300万円の生活費が必要だと仮定します。

年間300万円の生活費を、税引後の配当利回り4%ですべて賄うとすると、

300万円 ÷ 4% = 7,500万円

の投資元本が必要です。

年間400万円なら1億円です。

しかも「税引後4%」は、決して低い利回りではありません。

課税口座で配当に20.315%の税金がかかると単純化して計算すると、税引後4%を得るためには税引前で約5%の配当利回りが必要になります。

購入時点から税引前5%以上の利回りを求めると、投資できる銘柄は限られます。高い利回りだけを追いかければ、業績悪化で株価が下落した結果、見かけ上の利回りが高くなっている企業を買ってしまう危険もあります。

だから、

「7,500万円あれば、税引後4%で300万円もらえるから大丈夫」

と単純には考えられません。

そして、生活費の100%を配当で賄う必要もないと思っています。

年間生活費300万円に対して、年間100万円の配当があれば約3分の1。150万円なら半分。200万円なら約3分の2を配当で賄えます。

50代から退職後を考えるのであれば、その先には公的年金の受給もあります。

退職してから年金を受け取るまでは、

配当+必要に応じた資産の取り崩し。

年金を受け取るようになったら、

年金+配当+必要に応じた資産の取り崩し。

という方法もあります。

私が目指したいのは、絶対に資産を取り崩さないことではありません。

相場が大きく下落しているときに、生活費を作るために嫌でも資産を売らなければならない状態を、できるだけ避けること。

暴落時に「生活費が必要だから売るしかない」となるのと、「配当や年金である程度生活できるから、今年は売却を減らそう」と選べるのでは、精神的な負担がまったく違うと思います。

50代になった今、私が考えているのは、できるだけ早く仕事を辞めることではありません。

資産、配当、そして将来の年金を組み合わせて、安心して仕事を辞められる状態を作ること。

こちらのほうが、今の自分にはしっくりきています。

なお、退職後に必要な生活費や資産残高を実際にExcelで試算した記録は、50代の家計シミュレーションにまとめています。

増配が続けば、購入価格に対する利回りは上がっていく

税引後4%は簡単ではないと書きましたが、長期で考えると少し話は変わります。

高配当株投資の魅力の一つが「増配」です。

たとえば100万円で購入した株から、最初は年間4万円の配当を受け取っていたとします。購入時の配当利回りは4%です。

その企業が成長しながら増配を続け、何年か後に年間配当が6万円になれば、最初に投資した100万円に対して年間6%の配当を受け取っていることになります。

さらに増配が続いて年間10万円になれば、

購入価格に対する配当利回りは10%です。

いわゆる簿価利回りです。

※ここでの簿価利回りは税引前で計算しています。

たとえば簿価利回りが税引前10%まで上がれば、課税口座で20.315%課税される前提では、税引後でも約8%になります。

長期間にわたって増配を続ける企業を早い段階から保有できれば、簿価利回りが10%を超えることもあります。

だから私は、税引後4%という水準が将来的に不可能だとは思っていません。

ただし、

「今、利回り5%の株を探すこと」と、「増配する企業を長期間保有した結果、簿価利回りが5%、10%と上がっていくこと」はまったく違います。

私は後者のほうを大切にしたいと考えています。

高い配当利回りだけを追いかけるのではなく、利益を伸ばせるのか、無理のない範囲で配当を出しているのか、これからも増配していけそうなのかを見る。

ここでも、やはり企業を見る力が必要になります。

そして、増配によって購入価格に対する利回りが上がっていくためには、もう一つ大切なものがあります。

時間です。

長く保有する中で少しずつ増配され、その積み重ねによって簿価利回りが上がっていく。

そう考えると、高配当株投資は「退職するときに必要になったら始めればいい」とも言い切れません。

増配を待つには、時間が必要です。

将来高配当株を使いたいなら、退職直前ではなく少額から経験する

では、

「現役中はインデックスファンドで資産を増やして、定年が近づいたら高配当株へ切り替える」

という方法はどうなのでしょうか。

私は、将来高配当株を活用したいのであれば、退職直前に初めて大きなお金を動かすより、余裕資金の範囲で少額から経験しておくほうがいいと考えています。

高配当株投資の多くは個別株投資だからです。

それまでインデックスファンドだけを積み立ててきた人が、定年を迎えるころになって初めて個別株投資を始める。そのころには、長年積み立ててきたかなり大きな資産になっているかもしれません。

個別株投資をほとんど経験していない状態で、その大きなお金を使って企業を選ぶのは、私はかなり怖いと思います。

私自身、減配も無配も経験しています。

どれだけ調べても、個別株投資では想定どおりにならないことがあります。

現役時代の少額投資なら、その経験を次に生かす時間があります。しかし、定年後に大きな資産で失敗すると、取り返すための時間は限られます。

だから、少額のうちに一通り経験しておく意味があると思っています。

実際に自分のお金で株を買う。企業を調べる。決算を見る。配当を受け取る。株価下落を経験する。増配も経験する。

そして、長く続けていれば、おそらく減配も経験するでしょう。

こうしたうまくいかなかった経験も、個別株投資では大切だと思っています。

また、少額で経験する目的は、必ずしも将来、高配当株投資家になることではありません。

何年か経験して、

「企業を調べるのが面白い」

と思えば続ければいい。

逆に、

「企業を調べ続けるのは面倒」

「個別株の値動きが気になって仕方がない」

「自分にはインデックスファンドのほうが合っている」

と分かれば、それも大きな収穫です。

定年になって大きなお金を動かしてから、「やっぱり個別株投資は自分には合わなかった」と気づくより、ずっといいと思います。

増やすお金と、使うお金を分ける

いろいろな投資を経験して、今の私の考え方はかなりシンプルになりました。

将来のために資産を増やすなら、インデックスファンド。

配当金を受け取って今の生活に使いたいなら、高配当株。

成長株投資という選択肢もありますが、私には将来性を見極めるのが難しすぎたので、今はやっていません。

高配当株も決して簡単ではありません。減配や無配になることもあります。

それでも、現在では実際に口座へ入金される配当金が年間約120万円になり、そのお金を主に旅行などに使っています。

資産形成を続けながら、今の人生も楽しむ。

私にとって配当金は、その二つをつなぐお金になりました。

若いころの資産形成では、

「どう増やすか」

を考えていました。

50代になった今は、

「どう使うか」

も同じくらい大切だと思うようになりました。

お金は、最後まで数字として残すためだけにあるものではありません。

元気なうちに旅行へ行く。家族と食事をする。やってみたかったことを経験する。

そうやって人生に戻して初めて、お金を貯めてきた意味を実感できる部分もあると思っています。

だから私は、配当金については基本的に再投資しません。

毎年受け取った配当金は、その年の人生に使っていく。

木そのものは大切に育てながら、毎年できた実はありがたくいただく。

そして、将来のために増やす資産は別に育てていく。

今の私には、このくらいの距離感がちょうどいい。

増やすことも楽しむ。使うことも楽しむ。

50代になって、ようやくその両方を考えるようになりました。

よくある質問

配当金は再投資と使うの、どちらが得ですか?

すでに高配当株を保有していて、その配当金を使うか再投資するかで言えば、資産をできるだけ大きくすることだけを考えるなら、配当金を使わず再投資するほうが有利になりやすいと思います。

ただ、私は「得」を資産額だけでは考えていません。

将来のために増やすお金はインデックスファンドで運用し、高配当株から受け取った配当金は今の生活に使う。

そうすることで、資産形成を続けながら、旅行など今しかできない経験にもお金を使えます。

どちらが正しいというより、何のために投資しているのかで答えは変わると思っています。

配当金を毎年使ってしまったら、資産は増えないのでは?

高配当株から受け取る配当金については使っていますが、すべての投資資金を使っているわけではありません。

私は将来のために増やす資産と、今の生活に使う配当金を分けて考えています。資産形成については、低コストのインデックスファンドを中心に別に続けています。

配当金だけで老後の生活費を賄うことを目指している?

生活費の100%を配当だけで賄うことにはこだわっていません。

退職後は配当と必要に応じた資産の取り崩し、年金受給後は年金、配当、取り崩しを組み合わせればいいと考えています。

私が重視しているのは、暴落時に生活費のために多くの資産を売らなければならない状態を、できるだけ避けることです。

高配当株なら減配しにくい?

そうとは限りません。

私自身、減配は何度も経験していますし、配当利回り4%程度を期待して買った銘柄が、購入後まもなく無配になったこともあります。

現在の配当利回りだけではなく、利益、財務、配当性向、事業の状況などを見る必要があります。それでも減配を完全に避けることはできないと思っています。

高配当株は退職してから始めてもいい?

私は、将来高配当株を活用したいのであれば、余裕資金の範囲で現役時代から少額で経験しておくほうがいいと考えています。

個別株投資には、企業分析だけでなく、株価下落、増配、減配などを実際に経験して初めて分かることがあります。

少額で経験した結果、「自分には向いていない」と分かることにも意味があると思います。


※この記事は私自身の投資経験と考え方をまとめたもので、特定の金融商品や投資方法を推奨するものではありません。投資には元本割れ、減配、無配などのリスクがあります。また、税制やNISAなどの制度は変更される可能性があるため、実際の投資や税務については最新の情報をご確認ください。